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不育症検査の「抗○○抗体」や「IgG」「IgM」って何? なぜ、これらが流産率を上げるのか?

杉ウィメンズクリニックで不育症検査を受けた結果、私は一部の抗体が陽性と出ました。
今回の場合、こういう抗体は「何らかの仕組みで、血を固まりやすくしてくれちゃう」モノたちです。ざっくりいうと。(抗核抗体は違うけど)

どうして血が固まりやすくなるのか? そもそもなぜ、血が固まりやすい体質は妊娠に良くないのか?
自分の結果に関して、詳しく本を読み直したので、覚え書きします。(←調べ魔)

どこのページを参考にしたか、記事中に随時書き込んでいます▼

前置き:抗体とは

抗体とは、体内に入ってきたウイルスや何かに対し、正確に見分けてくっつく物体(タンパク質)です。

抗体がくっついたウイルスや何かは、白血球等によって「敵!」と認識され、攻撃されたり食べられたりします。抗体が攻撃の目印になるわけです。

また、抗体がくっつくこと自体で、相手の動きや働きを邪魔することもあります。

色々省略してますが、大ざっぱには、こんな感じです。
 

一方、抗体が余計なものにくっつくと、体にとって悪い影響も起きます。

たとえば花粉症の人だと、花粉に対してくっついちゃう抗体を持っています。
で、花粉に対して余計な反応が起きて、くしゃみ・鼻水・微熱なんかが起きます。
 

ちなみに、花粉症で問題になる抗体と、不育症で調べる抗体は、種類が違います。

人間が持ってる抗体は、大きく5種類ありまして。
花粉症かどうか調べるときは、IgE。
不育症を疑う時は、IgGとIgMを調べます。
 

どの抗体も、特定の相手にしかくっつかないのは同じです。
だから、くっつく相手別に、不育症検査でもアレルギー検査でも、多数の項目を調べます。
 

抗体について参考:
抗体の種類|MBLライフサイエンス

抗リン脂質抗体検査

さて、私が陽性に出た検査、その1。
抗リン脂質抗体のうち、カルジオリピンIgG抗体、IgM抗体。
どちらも陽性範囲のうち最低限の量で、陽性判定でした。
 

まず、抗リン脂質抗体というのは、何種類もあるらしいです。(のっけから面倒な事を言う)
リン脂質が何種類もあるので、それにくっつく抗体も何種類もある、と。

その中でも、国際学会の診断基準では、以下の測定が必須とされているそうです。(P36)
 ・抗カルジオリピン抗体 (IgG、IgM)
 ・ループスアンチコアグラント

他に、不育症の場合推奨されている検査が以下。(厚生労働省研究班提言)(P36)
 ・抗PE(フォスファチジルエタノールアミン)抗体 (IgG、IgM)

・・・なるほど、分からん。

抗リン脂質抗体症候群とは?

上記の項目が、ある程度陽性だと、「抗リン脂質抗体症候群」と言うそうです。
これは、ざっくりいうと「血液が固まりやすい状態」です。
 

そもそもリン脂質というのは、細胞を形作る膜の成分です。
他にも細胞の間でシグナルを伝えるとか、種類によって様々な役割があります。(←詳しくは忘れた)

ということは、血小板にもリン脂質があります。
というか、体中どこにでもあります。種類は様々だけど。

で、ここでの抗リン脂質抗体は、血小板に関係ある部分にくっついて、悪さをするようです。
本には「抗リン脂質抗体は、血小板を刺激するなどして血栓を引き起こします」とあります。(P73)
 

というわけで、「抗リン脂質抗体」をたくさん持っている人は、血がゆっくり流れている部分で固まりやすく、血栓ができやすいそうです。
胎盤での血栓だけでなく、たとえばエコノミークラス症候群のリスクも上がるとか。(P73)

持っている抗体の量が少なければ、普段は何ともないですが、後述のように、妊娠中には血栓のリスクが上がります。

抗カルジオリピン抗体と、ループスアンチコアグラントは、妊娠初期だけでなく、妊娠中期・後期にも、胎児の子宮内死亡を起こすことがあるそうです。(P75)

休憩:なぜ血が固まりやすいと流産しやすい?

そもそも妊娠中の女性は、血が固まりやすい状態になるそうです。
妊娠してない時期の6倍固まりやすい(6倍血栓症が起きやすい)、とか。(P77)
これは、出産時の大量の出血に備えるためだと考えられています。

というわけで、元々血が固まりやすい体質の人が妊娠すると、なおさら固まりやすくなります。
 

また、妊娠すると、胎児と栄養や酸素をやり取りするために、子宮内では胎盤が作られます。
胎盤では、効率的に栄養を渡すために、血の流れはとてもゆっくりなのだそうです。(P73)

よって、ことのほか胎盤は、血栓ができやすい環境といえます。
 

胎盤で血栓ができると、胎児に栄養が行かなくなってしまいます。
また、血栓ができた部分は、血管が破れて出血も起きます。(破綻出血)(P90)

このため、血が固まりやすい人は流産しやすい、というわけです。

凝固因子関係の検査

抗リン脂質抗体以外にも、血が固まりやすい病気・体質の人は流産しやすいそうです。(P75)

で、私が引っかかった項目の残り二つが、これに関連しています。

抗第Ⅻ因子抗体IgG Heavy chain

判定(±)なので、軽度の陽性。IgMは(-)でした。
Light chainは両方(-)でした。
 

この抗体がくっつく部位、「第Ⅻ因子」の「Heavy chain」という部分は、血小板が活性化して固まろうとするのを、抑える働きがあるそうです。(P87)
だから、第Ⅻ因子に抗体がくっついて働かなくなると、血小板に対する抑えが甘くなって、血が固まりやすくなります。

一方、抗第Ⅻ因子抗体自体に「胎盤が作られるのを邪魔する働きがある」らしき研究結果もあるそうです。(P91、マウスの実験)
だからこの抗体は、不育症にとっては良くない抗体、という事のようです。

抗ProteinS抗体 IgM (P93)

こちらは(-)~(3+)まである中の、(1+)でした。
IgGは(-)でした。
 

プロテインSとプロテインCは、血液が固まらないように抑えてくれる、抗凝固因子(タンパク質)です。
これに抗体がくっついて邪魔すると、血小板に関係なく、血が固まりやすくなるようです。
 

ただ、私は、プロテインSの「活性」を測った項目は基準値内でした。
なので、抗体はあるけど実害は出てない、という状態のようです。うん、たぶん。

まとめ

以上、色々書きましたが、血が固まりやすくなるのは、結局以下の2系統です。
「血小板が刺激される」
「血をサラサラさせといてくれる物質が邪魔される」

変な抗体の出現によって、こんなことが起きるから、流産しやすくなってんじゃないの、というわけです。
 

で、私の場合は、血小板を抑える「アスピリン(低用量)」を使うことになりました。これは飲み薬です。

検査値や、陽性の項目によっては、アスピリンに加えて「ヘパリン」の自己注射になります。
こちらは血液を固めようとする物質を邪魔してくれる物てすが、他にも「胎盤が作られるのを助けてくれるんじゃないか」「抗リン脂質抗体を吸着して(働かなくして)くれるんじゃないか」等と言われています。(そう言えそうな研究結果が出ているそうです)(P106)
 

不育症検査、お金はかかりますが、不育症に特化した色々な項目を調べてくれました。
これだけ見て引っかからなければ「異常なし!」と言い切れるほど、だそうです。

「異常なし」を言うのは難しいことです。
不育症検査すごい。

終わります。
 

不育症の場合のアスピリンの飲み方は、こちらでまとめました▼

不育症の場合の、アスピリンの飲み方や処方について覚え書き
杉ウィメンズクリニックで不育症検査をした結果、アスピリンを飲みましょう、と指示されました。   私は夏に流産した時も、「とりあえず」という感じで、アスピリンを飲...

検査結果を簡単に書いたやつ▼

不育症検査の結果です。一部がギリギリ陽性だった
先日、主人と一緒に、杉ウィメンズクリニックへ不育症検査の結果を聞きに行ってきました。 杉先生、開口一番「ちょっと引っかかってるねー」 というわけで、凝固系を中心...

参考の本▼

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