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漢方における、男性不妊の考え方と処方

先日は西洋医学的な事を書いたので、東洋医学的な事も書かないとバランス取れないよね。
と思うので、今回は漢方についてです。
 

とはいえ男性だと、西洋医学だけで治療していても、結果にはつながりやすいようです。

なにしろ、一歩目にやることは「精子の状態を見ること」と明快です。
そこで精子が全くいない、あるいは少ないとなったら、採血でホルモン値を見たり、精巣や精管に異常がないか調べることになるのでしょう。

そうして検査をする中で、なにか良くない部分があれば、大抵見つかると思います。
女性に比べて、男性不妊は「分かりやすい」印象です。
 

では、だったら漢方は出番がないのかというと、そうでもなく、
「体全体を整える」ことに関しては、やっぱり頼りになるのです。
 

参考にしている本:『漢方で赤ちゃんが授かる』寺師 碩甫

精力減退について、漢方での考え方

漢方では、生殖器と泌尿器、腎臓、副腎をひっくるめて「腎」と呼びます。生命エネルギーの源となっている部分です。(副腎は、腎臓にくっついている小さい器官で、色々なホルモンを分泌してます)
生殖機能の衰えは、腎の力が足りない「腎虚」と考えて、腎を補う漢方薬が処方されます。

代表的な処方は、八味地黄湯(はちみじおうとう)と、六味地黄湯(ろくみじおうとう)。
これに含まれる「地黄」という生薬が中心となって、腎を補います。
 

ちなみにうちの主人は、八味地黄丸を処方されて飲んでます。
これは、八味地黄湯を丸剤にしたものです。
丸剤だとさじ加減はできませんが、持ち歩けてパクッと飲めるので便利です。

検査所見は特に問題ないものの、おなかが冷えやすかったり、触診するとおなかに力がないことから、少し補った方が良いとの判断で出された、と記憶しています。

補腎以前の問題にも対応

という感じではありますが、そもそも体全体のバランスが崩れていたら、補腎よりもそちらを整える方が先になります。
 

たとえば、腎を補う「地黄」は、胃腸に少し負担がかかります。
なので、胃調の弱い人は、まずそこを強くする薬を使います。(補中益気湯:ほちゅうえっきとう など)
体が強くなり、栄養を十分に摂って吸収できるようになれば、それだけでも精気が改善しそうです。

あるいは肥満だったら、体重を落とすための薬。(大柴胡湯合桂枝茯苓丸料:だいさいことうごうけいしぶくりょうがんりょう など)
ストレスによって体調を崩している、いわゆる「気」が消耗している状態なら、気を補ったり心を落ち着かせる薬。(桂枝加竜骨牡蛎湯:けいしかりゅうこつぼれいとう など)
 

以上のように、まず最初に体全体のバランスを整えていく、というアプローチは、私が体験しているような女性に対する治療と、全く同じ考え方です。
この、不妊治療の範囲を超えて体調が良くなるのは、漢方の強みだと思います。

体調を整えた結果、精液所見も改善するし、妊娠にもつながる。というわけです。

漢方服用前後の精液所見例

参考にしている本には具体的な例も載っていますが、なかなか衝撃の改善ぶりです。
引用しちゃいます。

■178cm 65kg 男性
処方 桂枝加竜骨牡蛎湯
服用期間 1年1ヵ月
精子数 1000万→6500万
運動率 19%→80%

■170cm 82kg 男性
処方 大柴胡湯合桂枝茯苓丸料
服用期間 9ヵ月
体重 7kg減
精子数 4000万→1億
運動率 15~20%→40%

精液の状態って日々変わるらしいので(血液検査と同じで)、そこは割り引いて見た方がいいのかもしれませんが。
それでも、結果が出ている人がいる、というのは励みになりますよね。
 

ちなみに上記の例の方々は、漢方薬の他に、運動したり食事に気を使ったりといった「養生」も気をつけていると思います。
参考書籍93ページには、男性不妊を防ぐ養生生活として、以下の項目が紹介されています。

・週に2~3回の軽い筋トレとウォーキングを。
・「腎」に力をつける食べ物「赤いもの・黒いもの」をとる。※
・胃の弱い人は、消化の良い温かいものをとる。
・ストレスが強いときは、「気」を補う自然な甘みのある穀類やいも類をとる。
・太っている人は、まず体重を落とす。和食中心の食事にし、夜は炭水化物を控え、筋トレとウォーキングをしっかりと。

※食品の例(79ページより)
赤いもの:人参、小豆、大豆、かぼちゃ、ミカン、リンゴなど
黒いもの:黒豆、黒ゴマ、ワカメ、のり、ひじき、昆布、麦飯、黒砂糖など

あとがき

生活習慣や肥満などが、精子の減少や老化につながるのは、西洋医学の目で見ても同じです。
生活面で気をつけることがある、というのは、西洋医学の先生も口を酸っぱくしておっしゃってます。(上記の「養生」とは、また違う内容です。下記関連記事参照)

全身的な血管の老化や、糖尿病からくる神経障害の結果として、勃起障害が起きてくる・・・なんて見方をすれば、西洋医学であっても、全身の調子を見る事になります。
漢方の考え方と西洋医学の考え方、重なる部分もあるのです。
 

というわけでありつつ、漢方だと、西洋医学では届かないところに届きます。たとえば「気を補う」とか、西洋医学では出てこない考え方ですよね。

信じる気持ちも効果のうちなので、眉唾とか思ったら、回れ右していただいて構いませんが・・・
それでも、体調を整えて悪いことは絶対ないので、その点だけでも参考にしていただければ、と思います。
 

参考書籍

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