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煎じ薬をじっくり見てみよう~血府逐瘀湯(けっぷちくおとう)編

ふだん漢方薬を煎じる時には、土瓶にパッとあけて終わりですが、たまにはよく見てみると愛着がわくかもしれません。

そんなわけで、愛着のあまり暇人な行為をしたので公開します。
漢方不妊治療を受けている方、同じの飲んでたりしませんか? 漢方の勉強をされてる方にも、良かったら参考になればと思います。

ちなみに何で血府逐瘀湯かというと、よし撮ろう! と思った日に煎じる予定だったのがこれだったからです。そんだけです。
 

参考

1:寺師 碩甫『漢方で赤ちゃんが授かる』(主婦の友社、2014年)
2:中野哲・森博美 編『実践 漢方ガイド―日常診療に活かすエキス製剤の使い方』第1版(医学書院、2010年)
3:漢方薬・生薬大辞典 – 漢方薬のきぐすり.com
4:白い芍薬と赤い芍薬 – 漢方薬を始めよう リンク切れ

血府逐瘀湯(けっぷちくおとう)の構成生薬

お血を取り、体を温める処方です。
参考書1によると、11種類で出来ています。

  1. 地黄(ジオウ)
  2. 桃仁(トウニン)
  3. 当帰(トウキ)
  4. 紅花(コウカ)
  5. 川芎(センキュウ)
  6. 赤芍(セキシャク)
  7. 牛膝(ゴシツ)
  8. 柴胡(サイコ)
  9. 枳殻(キコク)
  10. 桔梗(キキョウ)
  11. 甘草(カンゾウ)

1回分の包みを広げて、種類別により分けてみると、確かに11種類あるようです。
けっぷの全体像

分かりやすいものから、順番に見ていきましょう。

青枠内は、専門的な分類を軽く書いてます。参考書2から引きました。

紅花(コウカ)

ベニバナそのものです。簡単!
コウカ

性味は温、薬能は血。
駆瘀血作用、鎮痛作用。

桃仁(トウニン)

桃の種を割ると出てくる核の部分。砕いてありますが、種の感じがしますので、これも分かりやすいですね。
トウニン

平、血。
駆瘀血作用、潤滑・通便作用。

地黄(ジオウ)

アカヤジオウまたはカイケイジオウという植物の、根。真っ黒な生薬です。(赤いのは紅花がくっついてるだけです)
ジオウ

乾燥させただけの乾地黄:涼、血。清熱作用。
酒などで蒸した熟地黄:微温、血。補血・補腎作用。

姿からも処方目的からも、熟地黄です。

甘草(カンゾウ)

早くも分かりにくくなってまいりました。かじってみて甘かったので、これが甘草。
黄色っぽくて、ボロボロした感じの断面です。マメ科植物の根っこです。
カンゾウ

平、気・水。
鎮静、鎮痙、鎮痛、去痰、鎮咳、動悸抑制。

枳殻(キコク)

カタマリ系の生薬を二種類いきます。

枳殻は、未成熟なミカンを干したもの。表面に黒っぽいのがひっついてますが、これがミカンの皮のようです。
キコク

涼、気。
健胃、鎮痛、排膿、止瀉。

川芎(センキュウ)

枳殻より透明感があります。センキュウというセリ科植物の根茎を湯通ししたもので、黒っぽい皮部分が混じることもあります。
センキュウ

温、気・血。
造血、温補、強壮、鎮静、鎮痛作用。

牛膝(ゴシツ)

少し透明感のある白です。芯が見えるのも特徴かと。
ゴシツ

平、血。
駆瘀血、利尿、強精作用。

桔梗(キキョウ)?

この辺からマジで難しくなってきました。参考サイト(3)の写真に加え、Google画像検索も使っちゃいます。(敗北)

断面が二重になっている様子と、表面のひときわシワシワした感じ、透明感のない白。うん、たぶん。
名前の通り、桔梗の根っこです。
キキョウ?

平、気。
排膿、去痰作用。

当帰(トウキ)?

これも表面がシワっシワしてますが、桔梗よりは茶色いんですよね。刻む前はひげ根のようなモジャモジャした姿です。
特有の芳香があるらしいので、嗅ぐかかじれば分かるかも?
トウキ?

温、血。
補血、安胎(保温)、便秘改善作用。

赤芍(セキシャク)?

あとふたつ! こっちか?
セキシャク?

保険適用の漢方薬に使われる「芍薬」は一種類ですが、本当は漢方医学的には(煎じの材料としても)2種類あるんだそうです。

セキシャク(赤)と、ビャクシャク(白)。

一般的には、セキシャクは「皮を付けたまま」蒸して乾燥した芍薬の根っこ、を指すそうです。(ビャクシャクは皮をむき、そのまま又は湯通し→乾燥)
うん、皮は付いてますね。

「赤芍」は清熱涼血薬、「白芍」は補血薬
参考サイト4より

柴胡(サイコ)?

最後、消去法で残った的な。わりと表面がスベスベして、細いです。
柴胡も刻む前は、当帰ほどではないけどモジャっとした姿なので、たまたま細い部分だったのだと信じておきます。
サイコ?

涼、気。
解熱、解うつ、昇陽作用。

 

・・・けっこう難しかった!
何か間違ってたらごめんなさい。

以上、お血を取り体を温める処方・血府逐瘀湯(けっぷちくおとう)の構成生薬でした。

参考図書・サイト(再掲)

(かかってる先生が書いた)

2:中野哲・森博美 編『実践 漢方ガイド―日常診療に活かすエキス製剤の使い方』第1版(医学書院、2010年)
3:漢方薬・生薬大辞典 – 漢方薬のきぐすり.com
4:白い芍薬と赤い芍薬 – 漢方薬を始めよう リンク切れ
 

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